…No.513259+■GS消滅を回避 岡山県北東部、鳥取・兵庫の両県と接する西粟倉村は、村の総面積5793ヘクタールの95%を森林が占める。昭和20年代に約3千人を超えた人口は減少を続け、現在は約1400人となっている。 村唯一のGSは、村の中心部を南北に縦断する国道373号沿いにある「あわくらサービスステーション(SS)」だ。令和2年3月末に地元JAが経営から撤退。村唯一のGSを消滅させてはならないと、村が出資する第三セクター「あわくらグリーンリゾート」が事業を継承し、同年4月に「あわくらSS」をオープンさせた。 GS消滅の事態は回避できたが、経営は順調ではない。同SSの笠矢武和所長は「1日平均100件くらいの利用があれば採算が取れるが、実際の利用は70件弱。コロナ禍でのオープンだったこともあり、村民以外の利用はほとんどない状況が続いている」といい「人の動きが増え、交通量が増えれば村民以外の利用も増えてくれるのでは」とコロナ禍の収束に期待する。 |
…No.513260+■ピークの半数以下 全国的に見てもGSは減少傾向にある。資源エネルギー庁のまとめによると、ピーク時の平成6年度末には6万421カ所あったが、年々減少し令和2年度末には2万9005カ所。ピーク時の半数以下になっている。 同庁はGS減少の要因について、人口減少や自動車の燃費性能の向上によるガソリン需要の減少を挙げる。また、ガソリンは商品の差別化も困難で価格競争が激化。GSの収益率が低下しているため、事業者数も減っているという。 昨年5月に成立した「改正地球温暖化対策推進法」に象徴される政府によるSDGs・脱炭素化の取り組みも、今後のGS減少を加速させるとみられる。 2050年にカーボンニュートラルを目指す政府方針は、自動車メーカーにガソリン車から電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)への生産転換を後押ししている。 |
…No.513261+■電気や水道と同じ 西粟倉村でも脱炭素化の取り組みは進む。平成25年3月には二酸化炭素排出削減に取り組む「環境モデル都市」として選定されており、村内には無料でEVに充電できる急速充電設備3基を設置。EVやPHVなどの購入や省エネ型冷蔵庫への買い替えなどへの補助金制度を整備し、脱炭素化を促進する。 一方でGSから供給される石油を必要とするのは村民のマイカーだけではない。中山間地域にあり朝晩の冷え込む村では5月上旬まで暖房用の灯油需要があるほか、林業用機械の多くは軽油を燃料とする。村民生活でGSの果たす役割は大きい。村の担当者は「脱炭素化も進めるが、GSは村に不可欠で、維持していく必要がある」と強調する。 SSの笠矢所長も「GSも電気や水道と同じ村のライフライン。守っていかなくてはいけない」と話している。 SDGsの和訳は「持続可能な開発目標」。国や企業による脱炭素化の取り組みの影で、GSを必要とする小さな村の暮らしをどのように「持続可能」にしていくかが問われている。(高田祐樹) |
…No.513263+EVが普及したらもっと減るだろう |
…No.513264+僻地のインフラと考えるなら、税金を投入して維持するしかないな |