…No.4050109+−映画、ドラマ、音楽などのジャンルで韓国などのエンタメが世界を席巻する中、マンガのジャンルはずっと日本が世界最強の印象。どこの国にも抜かれていませんよね。 浦沢 僕もそう思います。 −その理由は何だとお考えですか。 浦沢 おそらく、お金がかからないんですよ。子どもたちが妄想して書く世界が大きくなったものなので、巨大なプロダクションが動いていない自主独立な文化なんです。太平洋戦争が終わって何もなくなっちゃったところから、手塚治虫先生たちが紙とペンだけで、まったくお金をかけずにエンターテインメントを表現した。最初があまりに大きいビッグバンだったので、60年くらいたってもその文法を受け継いでいるのかなって。 |
…No.4050111+−よその国々も力をつけてきていますが。 浦沢 感情表現の使い方をというのは日本のマンガは傑出していると思う。ちばてつや先生の役割はすごくて、ふっと目を伏せるシーンとか、行間の感情をスーッと作り上げていくあの感じは、案外ほかの国にはない。手塚治虫先生の大きな世界観の力と、ちば先生のひとコマの感情表現。この両輪が僕らを育てたんだろうなという気がします。 −そんなマンガ文化の歴史の中で、今はどんな時代なのでしょうか。 浦沢 デジタルですね。相当漫画界を変えてきています。(画材の)スクリーントーンがなくなったら引退するというアナログ派もいれば、紙に書いたことがないという人もいる。タブレットでは絵が納まりきらないので、読む道具をどうするかという過渡期でもある。坂本眞一さんの作画風景なんか、映画館で見るクオリティーのものをデジタルで書いている。漫画を映画館で観賞する時代が来るかもしれないとか、とんでもない可能性が秘められていると思います。 https://toyokeizai.net/articles/-/514959 |