…No.3871620+「GHQは原爆死没者の数にあわせて南京事件の犠牲者の数を増やした。事実、占領軍が日本国民に当初行っていたプロパガンダでは、〈南京の暴行〉の〈被害者〉を2万人としていたのを極東国際軍事裁判では〈死者〉20万人とした。これはGHQのプロパガンダ指示書に〈広島と長崎への原爆投下を残虐行為だと考えている日本人の感情に対抗処置をとらなければならない〉とあり、それを実行したのだ」 これに対して、ネットメディアには「中国は、もともと40万人とか30万人と主張していたので、原爆犠牲者の数にあわせて南京事件の犠牲者の数を水増ししたというのは嘘だ」という反論が匿名で出ました。これも明らかにストローマン論法で、とくに「すり替え」というカテゴリーに入るものです。 私は「GHQが日本人の原爆投下に対する感情に対処するため南京事件の被害者の数を膨大にした」と公文書に基づいて指摘しているのですが、この反論は「中国はもともと30万人から40万人を主張していたのだから、原爆犠牲者の数にあわせて増やしたというのは嘘だ」としています。つまり、GHQと中国をすり替えているのです。 |
…No.3871621+ 参考のために言っておきますと、極東国際軍事裁判で証拠採用されたスマイス報告書は、南京市内で「兵士(日本兵と国民党兵)によって殺害された死者」の数を2400人としています。やはり証拠採用された、ベイツ報告書でも1万2千人に留まっています。中国側の出している数字がいかに途方もないものかわかります。 しかし、ひとたび「中国の人数は膨らませすぎである」という事実を示すと、前述のような手を使ってまで、その事実を否定する人が現れるのです。 ◎主張に都合のいい記事だけをつまみ食いする手法「チェリーピッキング」 実は、私がストローマン論法について書くのはこの記事が初めてではありません。近著『日本人はなぜ自虐的になったのか』(新潮新書)でも、「アメリカ軍の行ったプロパガンダによって日本人が自虐的になったというのは陰謀説だ」と主張する人がさまざまなストローマン論法のテクニックを使って詭弁を弄していることを明らかにしました。 https://www.dailyshincho.jp/article/2020/12291015/?all=1 |