…No.3843139+ 高邁(こうまい)な理想のような話はほとんどなかった。最後の方で、わずかに「私が目指す社会像は『自助・共助・公助』、そして『絆』です」「行政の縦割り、既得権益、そして悪しき前例主義を打破し、規制改革を全力で進めます」と語った部分くらいである。 安倍晋三前首相は2006年の第1次政権で、「美しい国、日本」を掲げた。12年からの第2次政権は「アベノミクス」のキャッチフレーズとともに再登板した。これに対して、菅首相には、それらしい言葉がない。 私は「質実剛健内閣」と名付けたい。ネットで調べたら、質実とは「飾り気がなく、まじめなこと」。剛健とは「心や体が強く、たくましいこと」とある。実直に訥々とした口調で、具体的な政策と決意を語る菅首相の姿勢は、まさにぴったりではないか。 演説中に野党席から飛んだヤジは、「自助・共助・公助」に反応した部分と、「日本学術会議はどうした」という声くらいだった。学術会議について、所信表明は一言も触れていない。当然である。 |
…No.3843140+ 私に言わせれば、菅首相が会員候補を任命見送りした問題は「学問の自由」と何の関係もない。年間10億円もの税金を投じている政府機関の会員について、首相が法律で定められた任命権に基づいて、任命しないケースがあったとしても、何もおかしくない。 新会員は現会員が推薦する仕組みになっている。「任命拒否は法律違反」などと騒いでいる学者や野党、左派マスコミは、「学術会議が推薦したら、首相は問答無用で任命しなければならない」と本気で思っているのだろうか。 そんなことを言ったら、国民は「左翼の巣窟」と指摘される学術会議を税金で支え続けて、永遠に拒否できない話になってしまう。 それでも、左派野党は国会で学術会議問題を追及するだろう。この際、政府・与党は彼らのバカバカしさを徹底的に浮き彫りにしたらいい。会議を見直す絶好のチャンスである。 (長谷川幸洋 ジャーナリスト) https://www.zakzak.co.jp/soc/news/201031/pol2010310002-n1.html |