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この背景にあるのは、萌えキャラ的な素材を使うことで受ける「軽さ」である。「何がマジメか」という議論はさておき、萌え絵やアニメ・漫画を用いることで、親近感とともに「軽さ」は必ず発生する。そしてこの「軽さ」には、暗に「不謹慎」というメッセージも含まれているだろう。 一方で、若者への訴求力から、公的な組織の広報にもアニメや漫画といった身近なポップカルチャーが利用されることも近年では一般化している。もちろん、それらは通常の広報手法の範囲内であると考えられ、今回のように大きな批判の対象となるようなことはまれである。 何よりも、今日の若者層にとって、アニメ調の萌えキャラは極めて身近で、強いアイキャッチを持つ。実際、若者向けのサービスや商材に描かれるキャラクターで萌えキャラになっているものは分野を問わず多い。 例えば、文学作品(古典や文豪の作品でさえ)の文庫本などは、以前であれば、古めかしい和柄や幾何学文様などで装丁されたものが多かったが、今日ではカバーの多くにアニメ調の絵や萌え絵が採用されている。教科書や参考書、宗教関連の書籍でさえ、萌えキャラが積極的に利用されているのが現実だ。 |
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その傾向は企業や公的な組織に限ったことではない。例えば、日本共産党が人気アニメ『アンパンマン』や原作者、やなせたかし氏を広報に利用してきたことは有名である。これも組織広報のマーケティングとしては正しい。共産党のどんなメッセージよりも『アンパンマン』の訴求力の方が強いことは明らかであるからだ。 他にも、2017年に『文豪とアルケミスト』という芥川龍之介や太宰治、夏目漱石といった日本の文豪たちを美少年キャラとして描いている人気ゲームを、日本共産党が広報利用して批判されたことは記憶に新しい。 日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」が、ゲームに登場する「美少年」のプロレタリア作家、小林多喜二の特集を組み、ゲーム人気と党への理解を重ね合わせてミスリードする手法が、ゲームファンたちから「ゲームを政治利用するな」と批判された、あの騒動である。 https://ironna.jp/article/12130?p=2 |