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「教科書をどういうものにするかは、どえらい重要だ」とも述べ、自ら確認する考えを示した。 前川氏が批判しているのは教育出版(東京)の道徳教科書。「道徳の教科化」に伴い、文科省の検定に初めて合格した8社の1つで、名古屋市や浜松市、さいたま市など多数の教委が採択し、4月から全国計約57万部が使われている。 ■「最悪の部類」 前川氏は2月発売の共著「子どもの人権をまもるために」で、「教育出版の教科書の異様さだけは群を抜いている」と教科書会社を名指し。あいさつとお辞儀に関する記述部分を取り上げ、「悪しき正解主義の中でも最悪の部類」と酷評した。3月に川崎市などで行った講演でも「型にはめる」などと評し、この記述に沿ったあいさつを自ら実演していた。 前川氏が講師を務めた2月の名古屋市立中の授業でも、この記述と同じ内容が取り上げられた。こうした場合、授業内容が一面的にならないよう教育的配慮が求められる。 |
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だが、文科省の3月初めの調査に対し、市教委は授業の具体的な内容を把握しないまま、「キャリア教育の視点で行われた」と回答。前川氏の教科書批判を指摘した産経新聞の4月2日の取材にも「授業では将来を考えることにつながるような経験を話されたと報告を受けた」とした。 さらに、市教委が採択した教科書を著書などで批判していることについては、「承知していない」と答えた。 ■採択で組織的反対運動 教育出版の道徳教科書は昨年3月、検定に合格。昨夏の教科書採択で、組織的な不採択運動の標的とされた。自虐的な教科書を批判して参入した扶桑社の、教科書事業を継承する育鵬社の中学歴史・公民教科書について、採択しないよう求めてきた勢力と同じとみられる。 |
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育鵬社は道徳に参入していないが、教職員組合などが出した教育出版の不採択要請書には、「他社の教科書と比べ異様」など前川氏と同じ趣旨の批判のほか、「育鵬社版の代役」とする記述もあった。 「道徳の教科化」については、学習指導要領の項目や成績の付け方などをめぐって多様な意見がある。だが、前川氏は在職中、教科化の政策決定過程の中心的立場にいた人物であり、その発言の影響力は無視できない。 麗澤大の八木秀次教授(憲法学)は「直前まで事務次官だった人物の発言は影響力があり、教育現場や中央の教育行政に混乱をもたらしている」とする。 「個人的に道徳の教科化には有効性に疑問があり、賛成しかねる」という元横浜市教育委員の評論家、小浜逸郎氏も「採択で決まった教科書である以上、文科省が調査するのは行政事務として当然。問題は、事務次官まで務めた人が特定出版社の教科書を攻撃して政争の道具に仕立てている点だ」と指摘する。 |
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産経新聞は前川氏に代理人弁護士を通じ取材を申し込んだが、回答はなかった。一方、前川氏を招いた当時の校長は「授業では教科書の批判はしていない」と答えている。 教育出版教科書のあいさつとお辞儀に関する記述は、「おはようございます」と組み合わせる形で(1)言いながらお辞儀(2)言った後でお辞儀(3)お辞儀のあとで言う−の3パターンを示し、次ページで(2)を「れいぎ正しい」としている。(2)はマナー講習などであいさつの基本として扱われる。 http://www.iza.ne.jp/kiji/life/news/180505/lif18050511020006-n1.html |