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ここで朝日新聞に対する疑問を指摘しましょう。社説の真下に「ザ・コラム」という欄があり、編集委員が執筆し、「武力で幸せを守れるのか」という見出しがついていました。社説以上に朝日新聞の特色を感じさせるコラムです。 ■感情論で安保を考える朝日 書き出しはこうです。「1959年6月30日。青空に太陽が輝いていた。本島中部にある宮森小学校は、二時間の授業を終え、ミルク給食の最中だった」。なかなか名調子です。そこに米軍嘉手納基地の戦闘機が墜落し、子供たちを炎が包んだ。墜落を記録する冊子は「まるで地獄絵」としるしたというのです。 さらに名調子風の文が続きます。「77年9月27日、横浜の空は晴れて、汗ばむ暑さだった。田園都市線江田駅近くの住宅に、米軍厚木基地の偵察機が墜落した。アイスクリームを食べていた子らは死んだ」。朝日記者は最近のヘリの窓の落下、戦闘機の燃料タンクの落下、戦闘機のアンテナの落下へと、話をつなげ、「戦争を放棄した憲法を持つ国で米軍機による事故が繰り返される」と。 |
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それぞれの事故は重大だし、防止しなくてはいけません。だからといって、「のべつまくなしに事故が起き、生命が脅かされている。武力が日本人の幸せを守るのか」という結論を提示するには、飛躍がありすぎます。このコラムは米軍への不信感をかきたてることをもっぱら主眼に置いており、では日本の安全保障をどう確立するのかに踏み込みません。 もちろん武力だけでは、安全保障は守れません。安全保障を確立するには、軍事力は必要条件の一つにすぎず、外交政策も経済協力も必要であり、総合的に必要十分条件を整えていくことが必要です。この記事は感情論のレベルで安全保障を考えるという初歩的なミスを犯しています。朝日の病の代表例です。 ■具体的な提案を避ける習性 その朝日の社説はどうか。「安倍政権と憲法。改憲を語る資格はあるのか」という見出しです。結語は「首相の都合で進める改憲は、もう終わりにする時だ」です。各種の文書の改ざん、隠蔽、首相に近い人物への便宜供与の疑い、経済を前面にたてて選挙を実施、大勝すると強引に「後出しじゃんけん」のように重要政策を押し通す、などを列挙しています。 |
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朝日の批判の多くに私も同感するところはあります。課題は山積しており、「優先順位を見誤るな」も、多くの有権者が考えていることでしょう。問題は「首相の都合で進める改憲」反対するなら、どういう改憲ならいいのか。それを示さない。朝日の常套手段です。朝日病といっていいでしょう。 読売は「自衛隊違憲論の払拭を図れ」見出しです。「終戦直後に制定されたままの憲法では、対応しきれない事態や課題が生じている」としています。自民党がまとめた「9条2項(戦力の不保持)と自衛隊明記を並列する」ことについて、これでは「今後も議論が続く懸念がある」としながらも、「他党との合意形成を優先した現実的な判断だ」と、理解を示しています。 日経は「改憲の実現にはまず環境整備を」が見出しで、「現状で国民投票をすると、賛否が拮抗する。国論二分の混乱に陥る」と主張しています。日経が懸念しているのは、安倍首相が「自衛隊明記案が国民投票で否定されても、自衛隊が合憲であるとの立場に変わりがない」としている点への疑問です。 |
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日経は「可決でも否決でも自衛隊合憲なら、わざわざ国民投票を実施する必要があるのか」との指摘は、鋭いと思います。国民投票のテーマは「自衛隊は合憲か違憲か」ではなく、「憲法に明記することに賛成か反対か」ですから、首相のような意見もありうるのでしょう。ただし、もし「憲法明記」が否決されたら、「憲法に明記できない自衛隊は違憲同然」という声が高まることは十分に予想されます。 自衛隊なくして、日本の安全保障は守れません。そうした事態を招かないように、国民の政府不信を払しょくし、与野党間でも熟議を重ねてから、国民投票に踏み切ったほうがよいのです。今の状況で賛否は半々でしょう。結果次第で、自衛隊違憲論に勢いを与えることになったら、「それみたことか」と、違憲論が大勢を占める憲法学者、さらに朝日新聞が喜ぶことになります。 http://agora-web.jp/archives/2032463.html |
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>この記事は感情論のレベルで安全保障を考えるという初歩的なミスを犯しています。左翼の病の代表例です。 |